『人は悪魔に熱狂する』レビュー

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テーマとしてギャンブルに勝つ確率論としていますが、理論や数式だけで勝てるほど世の中甘くはありません。ギャンブルだけでなく、ビジネスや人生の選択においても人間の感情がもたらす影響は計り知れないです。数式だけだと必ず失敗します。そこで数式を当てはめる前に、前提条件や範囲を行動経済学の観点からも考察する必要があります。

人間の持つ感情の流れを理解しておくことは、様々な場面で役に立つことでしょう。行動経済学の本を買おうと思ってジュンク堂池袋に来ましたが、当初考えていたものとは別の本になりました。全部読み終えましたので感想と役に立ちそうな部分をご紹介していきます。

人間の行動は合理的ではない

人が何かを決定したり行動する際は、損得勘定とその人固有の好き嫌いから決定されます。どちらの割合が高いかは、その人の価値観に左右されます。好き嫌いの割合が高いと理解しがたい選択と結果がもたらされます。

人は半分は合理的で残りの半分は非合理的な選択や決定をする生き物だと思います。その人がどういう人なのかを理解できると価値基準や行動パターンをある程度予測できます。

その人がどんな人かを見抜く

簡単な方法として、仕事やプライベートで良く付き合っている人たちがどんな人なのか取り巻きを見ることです。10人くらいみると分かります。

例えば投資したい会社があったとします。会社の業績や沿革、事業内容を最初に見ますが、代表取締役の経歴とその他の役員の経歴等をしっかり見てください。社長がやりにくい人を役員として任命しません。特に重要なものは趣味や家族、ビジネスに直接関係ないことです。この部分にその人の個性や性格が顕著に表れます。

コツコツと努力していくタイプの人ならば、資源開発や不動産、化粧品や製薬などの開発段階で時間とお金がかかりどう転ぶか分からない事業には絶対に向きません。もしそういうタイプの人が社長をやっていたとすれば、お飾り社長か失敗に終わる可能性が高いので、株式を買うのは止めましょう。

煩悩とは

除夜の鐘がなぜ108回鳴らされるのか知っていますか。仏教において人間の心の苦しみや迷いの根源とされる108種類の心の動揺を鎮めるためです。その人が持つ煩悩こそ行動に如実に表れ、そして様々なところで問題を引き起こすのです。ここでは宗教の話をするつもりもなければ、私は無神論者です。

煩悩は3つに大別され次の通りとなります。三毒こそ判断を誤らせ人生がおかしくなる原因です。ある時までは有効に作用しても最後の結末は悲惨なものです。

三毒とは
  1. 貪(とん):強い欲望や執着
  2. 瞋(しん):拒絶や憎しみ
  3. 癡(ち):欲望や憎しみに囚われている状態

貪(とん)とは

お金で人を見返したいとかこれまで耐えてきたのだから止められないといった感情です。正直依存症の原因となる感情でもあります。これはサンクコスト(埋没費用)とも関係があります。

例えば会社の創業者が上場まで果たせた場合、どこかの時点で株式も全部手放し経営からも退くことの方が会社にとってもその人にとっても幸せになる場合が多いです。

瞋(しん)とは

自分とは考えが違っていたり意見を否定された瞬間から敵対視する人がいます。例えば野球でいえば、阪神ファンの人が巨人ファンの人に対して試合で負けたからと言って喧嘩をしたとします。八つ当たりしても仕方がなくむしろ同じプロ野球ファンとしての仲間意識を持った方が人生楽しく過ごせます。

人脈も広がりますし行動範囲も東京と大阪といったように交流を通して新しい人生を見つけることができるかもしれません。行動範囲が狭い人にチャンスはやってきません。

癡(ち)とは

被害妄想かもしれません。自分を過大評価したり過小評価したりするところからストレスやうつ状態を引き起こしてしまいます。

パナソニックに勤務していた友人が、リストラが吹き荒れていた時にパナソニックホームズに出向を言い渡され少しうつ状態の時がありました。全くの畑違いの業界に通勤時間もこれまでの通勤時間に対して片道プラス1時間という劣悪さでした。その時の彼の言葉にFaceBookは見たくないというのがありました。

自分の友達の人生が上手く行っている姿を見ると自分が惨めに感じるからと。人生上手く行っているときは優しく思慮分別があった人でも、逆境になると冷たく無関心になる人がいます。私自身特に45歳の時に解雇を言い渡されてからは踏んだり蹴ったりの人生ですが、人に対する対応だけは変わっていないということだけが自慢です。

友達が上手く行っているから自分の人生が上手く行っていないわけでもないので気にしない方がいいでしょう。むしろ上手く行っている人と楽しい時間を共有することで現状を打破できるかもしれません。

決定理由は一面では分からない

東日本大震災の時の福島第一原発の所長だった吉田所長は、東京電力に対しても官邸に対しても虚偽の報告をしてまで原子炉に海水を注入してメルトダウンを阻止しました。現場サイドとボードサイドでは置かれている状況が違うからです。

立場や置かれている状況によって判断や決定が変わり理由は当事者でないと分からない場合が多いです。

ぱちんこやスロット、競馬、オンラインカジノ等のギャンブルに対してこれまでの話は何の関係があるのかと疑問に思う人もいるでしょう。ギャンブルの確率に勝つことも大切ですが、自分という人間に対しても勝たないと儲かりません。

これまで書いてきたことは自分を知るためのきっかけにして欲しいと考えています。私がこの本を読んで得た感想でもあります。

この記事を書いた人 Wrote this article

ogoe

福島県南相馬市原町区から上京してきて30年以上経ちます。仕事は、財務経理が20年以上、不動産関係が10年以上経験があります。趣味は音楽と写真。運動を数値化し写真撮影も楽しんでいきます。

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